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真昼の歓談。

午後の授業が休講になるなんて
昨日はじめて知った。

みんな知ってたみたい。
『誰か教えてくれれば良かったのに』、と他力本願に口を尖らすと、
『自分で確認しろよ』とすかさず仲間に笑われた。

でも思いがけないことで、
ちょっと得した気分になったから良しとするんだ。
わたしは心の中で呟いた。

だから上機嫌で友達をランチに誘ったのに、「今日はそんな気分じゃないの」と断られる。

独りご飯は嫌いじゃないから別に構わないけど、やっぱり寂しいから、
「残念だわ」と素直に返してバイバイした。

昼過ぎの駅は無人。
秋の柔らかい日差しがホームを包む。

何気なく聴いていただけのわたしに、イヤホンから斉藤和義が訴え掛ける、
『退屈はいつもしあわせとワンセット』。

そうなのかもね。
わたしは偉そうに同調する。

ひたすらに続く線路の上を走ることの単調さに飽きながらも、脱線したときに初めてその恐ろしさを知るんだ。自分の人生を当たり前に感じるのは、今立ってる場所がわたしを違和感なく受け入れてくれてるからだ。と、気付いたときは後悔するとき、そうはなりたくない。

銀色の電車が来た。ふと気づいて顔を上げたら、
何故か、最近すれ違い気味の男の、勝ち誇ったような笑顔が浮かんだ。

腹が立つような、嬉しいような、
『何であんたが』と思わず憎まれ口でイメージをかき消す。

でも多分、
それが『幸福』なんだろう。

次、会ったら、
「愛してる」ってわたしのほうから先に言おう。

吊革は揺れる。
新聞を広げたままおじさんが寝てる。

ふと思い出して、メールをする。
『今度気分が乗るとき飯行こうや』
すぐに返事が来る。
『わかった絶対ね』と絵文字付きのメールが嬉しい。

何気ない風景が見れる今が一番しあわせだと知ったわたしは今日一番の勝ち組なんだ、と、
定期券片手にほくそ笑んだ。
# by fuddy-duddy_nm | 2008-10-23 00:16 | なっちゃんのできごと。

海。

わたしのこころには時化と凪があります。

海に惹かれる性質、わたしに触れようとするものを突発的に拒絶する本能。
港で猫と共鳴し、時折見える不吉な影におびえる日々。

朝日に照らされた波のしじまをわたしは知りません。
月に荒れる汐に目をつぶり、靡くスカートを握りしめて立ちすくむ宵。

あまりにも凛とし過ぎたわたしと、
アイデンティティクライシスに陥落したわたしと、
毎日真逆の人格が顔を見せるのです。

顔をあげるたびに、違って見える景色。

後ろを振り向いてもそこには何もなく、
ただ闇に棚引く髪の毛が肌を擽るのです。

「お願いだから、わたしの足を掬わないでください。」
おびえる眼差しはこどものよう。「まるで幼い」と笑われるわたし。

その度に張る虚勢。
しかし結局、最後傷つくのはわたしであり、悪循環に限りはありません。

さざなみにすます耳。
わずかに射す灯台のあかりはわたしの影を引き延ばし、
確かにわたしはここに立っていると実感させてくれます。

疼く手足。
いずれかの闇にわたしはまた怯えて、海を目の前に佇むのです。
# by fuddy-duddy_nm | 2007-03-24 03:51 | なっちゃんのできごと。